大手監査法人でのリストラから独立に至る経緯。挫折する会計士を支えたものとは

人生には挫折はつきものである。それは今回話を伺った富岡さんも例外ではない。監査法人時代に犯したミスが尾を引いて退職に追い込まれた富岡さんは、2度の転職を経て結局独立の道を選んだ。しかし、その姿は落ち武者のようなものではなく、むしろとても晴れやかだった。彼を支えているものは一体、何なのか。
プロフィール
富岡 雄一郎(仮名)40代男性 公認会計士
2004年公認会計士第2次試験に合格したのち、大手監査法人に就職。早期退職制度に応募して退職したのち、国内飲食チェーン企業や税理士法人にてキャリアを積む。現在は地元で会計事務所を設立し、事業承継やM&Aのサポート業務を手掛ける。
家業を支えるつもりで会計士に興味を持つ
眞山:富岡さんはご実家が自営業ということですが。
富岡(敬称略):はい。いわゆる町工場のような小さな会社ですが、父の代から続いています。
眞山:公認会計士を志されたのにはそういった背景も影響していますか?
富岡:そうですね。兄がいるので、兄が会社を継いで、それを僕がサポートできたらという思いで会計士を目指しました。兄と違って出来が悪いので苦労しましたが何とか合格することができ、特に深く考えずに大手監査法人に就職したのですが、やがて地元の企業を見てみたいという思いに駆られ、転属を願い出て地元の事務所に配属してもらいました。
眞山:その頃はどんなお仕事をされていましたか?
富岡:一般的な監査業務に加え、管理会計の導入や国際会計基準の導入のコンサルティングの仕事をしていました。地方事務所とはいえ首都圏内にあったので、企業の規模が入社前に想像していたより大きくて、びっくりしたのを覚えています。今思い出すと本当に恥ずかしい話なのですが、その時の自分の言葉づかいでクライアントの偉い方を怒らせてしまって(笑)、そのことで当時の上司からは冷遇され続けていました。でも、一緒に働く仲間たちがとても気のいい人たちだったし、先に申し上げた通りもともとは家業を継ごうという気持ちがあったので、出世にこだわる必要がない分気楽に働くことができていました。
リストラに会い、職場を渡り歩くことに
眞山:その後のキャリアはどういったものですか?
富岡:監査法人の早期退職制度がありました。その時に事務所のパートナーから「悪いけど君には退職してもらいたい」という趣旨のことを言われました。以前の自分のちょっとしたミスがこんな風に尾を引いたのかと思うと非常に落ち込みましたが、割増退職金も出ることだしと思い、素直に従うことにしました。
その後、いくつかの会社で面接したのですが、ことごとくダメでした。公認会計士というプレミアムがついているのに採用されないということは、それくらい僕のコミュニケーションに問題があるのかな…と自暴自棄になったこともありましたが、色々な人に支えてもらって、やっとの思いで地元の飲食チェーン店で管理職の働き口を見つけまして、2年ほどそこのお世話になりました。主にやっていた業務は内部統制の運用です。首都圏にそれなりの数の展開をしているチェーン店で、いろいろな店舗を回って帳票類の確認をしたり、改善点があれば指示を出したり、といったことをやっていました。職制上は管理職でしたが、やっていることは現場を回ってばかりでしたね。
ただ、これでは最終的に家業の手伝いをするというゴールにたどり着けないんじゃないか?という思いが転職当初からあったので、もう少し違うキャリアを、と思って再度転職することにしました。
眞山:なるほど、そして選んだのが事業承継を専門としている税理士法人だったわけですね。
富岡:はい。うちの実家もそうなのですが、そもそも地元の中小企業では経営者の高齢化問題が深刻化していたので、家業を継ぐのであればついでに地元全体の役に立てるようにという思いで事業承継の専門性を身に着けようと思ってのことです。
眞山:お仕事は順調に進みましたか?
富岡:相変わらず苦労はありましたが、少しずつ自分の居場所を得られるような気持ちになりました。やはり中小企業を相手にしていると、いわゆる上場企業の方々の優等生な感じとは違って、僕のようなガラの悪い話し方しかできない人でも受け入れてもらえる…というより、むしろそのほうがいいと言ってくれる時もありました。
地元を盛り立てるべく、会計事務所を設立
眞山:その後、富岡さんは結局独立を選ぶのですよね。もともとは家業を継ぐという話でしたが、少し方向転換があったわけですか?
富岡:もちろん兄弟で経営するのも楽しみだったのですが、一つには会社の経営上2人の親族が報酬をもらうのが厳しいという懐事情があったことと、先ほど申し上げた通り、同じような悩みを抱えている地元の中小零細企業を助けたいという思いもあり、実家の会社は兄に任せて、自分は会計事務所を作って、実家をクライアントの1つとして位置付けるスキームに落ち着きました。兄は地元でも精力的に活動をしているので人脈が豊富で、困っている経営者をどんどんつなげてくれたおかげで、一人事務所ではありますがクライアントはある程度確保できています。
眞山:今後は事務所を拡大するようなことも視野に入っていますか?
富岡:はい。僕みたいな男の下でもいいと思ってくれる人がいるならアシスタントを頼みたい。というか、むしろその人のアシスタントをしてあげたいですね(笑)。どうも僕は人に指示を出すことも苦手だし、大企業向きの礼儀作法も苦手なんですが、人の手伝いをするということは得意だと思っていて、それが中小企業の社長さんたちに受けているんだと自負している部分があります。
眞山:富岡さんのキャリアを伺っていると、苦しかった時の思いをすごく赤裸々に話してくださった気がしますが、あくまでも明るく語ってくださったという印象があります。大変な時期に富岡さんを支えてくれたものって、何なのでしょうか?
富岡:それは何を置いても家族、特に妻だと思います。監査法人を辞めた後、僕はしばらく収入源を絶たれていたのですが、それでも妻は優しく僕を支えてくれました。慰めてくれただけでなく、自棄になってお酒を飲んで帰ってきた僕を猛烈に叱ってもくれました。こうやって自分のキャリアを語る機会をもらえたおかげで、改めて「ありがとう」を言いたい気持ちです。
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