公認会計士から投資銀行への転職はおすすめ?業務内容や必要スキルを解説
公認会計士の転職先の1つに投資銀行があります。投資銀行への転職は比較的難易度が高めですが、スキルアップが狙えたり、収入が上がったりするというメリットもあります。また、投資銀行のなかでも、ポジションによって年収や業務内容が異なります。この記事では、投資銀行でのポジション別の業務内容や年収、求められるスキルなどを紹介します。

岩波 竜太郎
公認会計士
2000年、公認会計士2次試験合格。2004年公認会計士登録。
大手監査法人ではマネージャー・シニアマネージャーとして、主として世界有数のグローバル企業の会計監査に従事。その後ベンチャー企業へ転職し、執行役員・管理本部長として人事や労務なども含めた管理業務全般を幅広く経験。
2015年5月に岩波公認会計士事務所を設立し独立。2016年10月にはアイプラスアドバイザリー株式会社を設立。決算支援や管理会計構築をはじめとする財務会計・管理会計のアドバイザリー業務に従事する傍ら、上場会社の社外役員としても活躍。
目次
そもそも投資銀行とは
投資銀行とは株式や債券を扱い、資金調達やM&A(合併・買収)のアドバイスを行う金融機関です。
一般的な銀行との違いは、業務の内容と対象とする顧客です。一般的な銀行は、企業や個人向けに貸し付けを行います。一方、投資銀行は株式や債券、デリバティブ取引などを取り扱います。具体的には、法人企業や政府機関に対して有価証券やデリバティブに関する取引を提供するほか、自らこれらの商品を用いてトレーディング利益を獲得することもあります。そのほか、たとえば非上場会社のIPOに向けたアドバイザリーや、M&Aなどの企業の組織戦略的な部分にかかわるアドバイザリーなども広く取り扱っています。
公認会計士が投資銀行に転職するメリット

公認会計士が投資銀行に転職するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- スキルアップを狙える
- 収入が上がる
- キャリアの選択肢がさらに広がる
一方で、公認会計士が投資銀行へ転職する難易度は高いといえます。投資銀行への転職では、金融知識や金融監査の経験が前提となります。特に30代、40代で投資銀行への転職を志す場合、即戦力であることを証明する実績やスキル(語学力・MBA資格)が必要です。年齢が上がるにつれて、実績や専門性の高い知識が求められるため、比較的若いうちのほうが選択肢は広がりやすいといえるでしょう。公認会計士として培った専門的な会計知識をはじめ、付加価値になる語学力やITリテラシーなど、自分のスキルをうまくアピールすることが大切です。そのために、公認会計士に特化したプロの転職エージェントと協力しながら転職活動を進めるのがおすすめです。
難易度の高い投資銀行だからこそ得られる、転職するメリットについて紹介します。
スキルアップを狙える
公認会計士が投資銀行へ転職するメリットは、監査法人や会計事務所での業務では得にくいスキルを得られることです。投資銀行の業務では、高度な専門知識とスキルが必要です。たとえば、M&Aアドバイザリー・資金調達・IPO支援などが挙げられます。
投資銀行での業務は、企業の戦略や意思決定にかかわる重要な内容がメインです。責任がある分、業務のなかで身に付けられるスキルや実績も大きいといえます。国際的な案件にかかわれば、グローバルな視点で自分のスキルを伸ばせるのも魅力の1つです。
それなりの体力と精神的なタフさは必要になりますが、案件の規模や裁量が大きければ、業務量や責任も増え、人材価値を大幅に高められるでしょう。
収入が上がる
年収アップが期待できるのも、公認会計士が投資銀行へ転職するメリットの1つです。投資銀行の平均給与は、金融業界のなかでも高いといえます。日系と外資系、どちらに転職するかで違いはありますが、1,000万円を超えるケースも多く見られます。日系の場合、役職にもよりますが1,000万円以上からスタートする場合もあります。
監査法人などで年収1,000万円を超えるには、少なくとも10年程度かかるといわれています。一方、成果次第で年収の上振れが期待できる投資銀行は、自分の実力で多く稼ぎたい人に向いている転職先です。
キャリアの選択肢がさらに広がる
公認会計士の業務内容やスキルが会計中心なのに対し、投資銀行では、ビジネス寄りで戦略的な専門知識が身に付きます。つまり、公認会計士から投資銀行への転職は、キャリアの選択肢をさらに広げることにもつながります。
投資銀行での実績は、さらなるキャリアアップを図る際に高く評価されるアドバンテージです。投資銀行では、経営者視点での思考が求められるため、ヘッジファンドやコンサルティングファームなど、企業経営に近い業種へのキャリアアップが期待できます。
公認会計士が投資銀行で担当する業務内容
公認会計士が投資銀行に転職した際は、以下の部門に分かれるのが一般的です。投資銀行では、顧客と直接取引を行うフロントオフィス、フロントオフィスの業務を管理するミドルオフィス、会社の運営を支えるバックオフィスに分かれますが、ここでは特にフロントオフィスに絞って解説します。
- M&Aアドバイザリー部門
- デット・キャピタル・マーケット(DCM)部門
- エクイティ・キャピタル・マーケット(ECM)部門
- 新規株式公開(IPO)引受部門
それぞれの部門の業務内容と必要なスキルを比較できるよう、以下の一覧表にまとめました。
| 投資銀行の部門 | 業務内容 | 必要なスキル |
|---|---|---|
| M&Aアドバイザリー部門 | ・企業の合併、買収などにおいて、戦略の立案から実行までをサポート ・財務諸表の分析や企業価値を評価 |
・スケジュール管理能力 ・売り手と買い手、双方の間に立つプレッシャーに耐えるメンタル ・財務諸表の分析力や企業価値を評価する判断力 |
| デット・キャピタル・マーケット(DCM)部門 | ・債券を活用した資金調達 ・市場環境や金利動向を踏まえた価格付け |
・金利変動、マクロ経済情勢、法規制など、高度な分析力と専門知識 ・クライアントや他部門と連携するための円滑なコミュニケーション能力 |
| エクイティ・キャピタル・マーケット(ECM)部門 | ・株式の発行をサポート ・投資家向けのマーケティング活動 |
・市場の動向や投資家のニーズを適切に理解する能力 ・急激な市場変動に合わせられる迅速な判断力 |
| 新規株式公開(IPO)引受部門 | ・未上場企業の上場をサポート ・株式の販売管理や投資家への情報提供 |
・会計基準や金融商品取引法に関する専門知識 ・監査法人、証券取引所などとの円滑な調整力 |
公認会計士が投資銀行へ転職した際のポジションと年収
公認会計士が投資銀行に転職する際、投資銀行内でのポジションは、下記に分けられます。
- アナリスト
- アソシエイト
- ヴァイスプレジデント(VP)
- ディレクター
- マネージングディレクター
ポジションが上がるにつれて年収も上がるのが一般的です。実際の年収は、企業によってまちまちなので、正確な年収を出すことは難しいといえます。
今回は、それぞれのポジションの業務内容と、年収の相場(企業によって変動あり)を紹介します。
アナリスト
アナリストは、投資銀行でキャリアをスタートする際のポジションです。新卒〜第二新卒など、実務未経験の場合はこのポジションに就きます。
アソシエイトやヴァイスプレジデント(VP)の指示で作業を進行します。業務内容としては、資料作成・財務分析・データ収集などがメインです。
年収は、700万円~1,500万円程度と幅が広く、日系と外資の違いによっても変化します。一般的に、外資のほうが年収は高い傾向があるといえます。担当した案件量や成果、英語力などが昇進に影響します。
アソシエイト
アソシエイトは、案件を実行する際に主軸となるポジションです。20代後半~30代前半が多く、アナリストを複数人まとめながら、案件を進めていきます。企業の評価やモデル構築など、アナリスト時代よりもさらに高度な分析を行います。MBA取得者が多いことも特徴に挙げられます。
年収は1,000万円~1,500万円程度となることが一般的です。
ヴァイスプレジデント(VP)
ヴァイスプレジデントは、日系企業だと中間管理職を指します。アソシエイトやアナリストをまとめて案件を主導するポジションです。案件の獲得やチームマネジメントなども担うため、マネジメントに関する専門知識も必要になります。
年収は、1,500万円〜2,000万円程度となることが一般的です。
ディレクター
ディレクターは、クライアントと直接コミュニケーションをとるポジションです。複数のチームを管理しつつ、案件の獲得から実行までの責任を持ちます。
年収は、2,000万円~3,000万円程度が目安です。高額案件をリードするため、ボーナスの比率が高い傾向があり、成果次第で年収に幅があります。
マネージングディレクター(MD)
マネージングディレクターは外資系投資銀行の役職で部門全体を統括する責任者です。新規プロジェクトの獲得から大手企業との案件まで先導するため、非常に責任のあるポジションです。社内での評価や現場の実績、また、顧客からの信頼も得ている人材がこの役職に就きます。
年収は、3,000万円〜となることが多く、実績次第では数億円単位になる可能性もあります。
投資銀行で求められるスキル

公認会計士が投資銀行で求められるスキルには、卓越した財務分析能力・戦略的思考力・コミュニケーション能力が挙げられます。また、外資系の投資銀行で働くのであれば、高いビジネス英語力も必須となります。
必要なスキルを理解したうえで自分の強みを把握し、書類や面接で生かせるように準備をしましょう。マイナビ転職 会計士では過去の豊富な事例・実績からご状況に応じた転職を提案して、サポートします。自分のスキルを生かして転職を成功させましょう。
高度な財務分析力と戦略的思考力
公認会計士が投資銀行で活躍するためには、高度な分析力と専門的な金融知識が不可欠です。特に、膨大な財務データや市場情報を正確に読み解く数字処理能力と、それらをもとに合理的な結論を導き出す問題解決力が求められます。
投資銀行の業務では、企業価値の評価や市場動向の分析、M&Aにおけるシナジー効果の検討など、複雑な要因を精査する場面が多く、緻密な数値分析と論理的・仮説ベースの思考が重要です。
また、情報整理能力と理解力も重要なスキルです。大量の情報のなかから本質的なデータを抽出し、分かりやすく整理したうえで、金融商品や財務諸表、専門的な概念を正しく理解する力が求められます。
さらに、クライアントのニーズを的確に把握し、最適なソリューションを提示するためには、高い洞察力と応用力が不可欠です。
クライアント対応力と交渉力
公認会計士が投資銀行へ転職する際は、クライアントとの信頼関係を構築するためにも、高いコミュニケーション能力と交渉力が必要とされます。投資銀行の業務では、M&Aや資金調達、複雑な金融商品を扱うことが多いため、専門性の高い内容を論理的かつ分かりやすく説明する力が必要です。
また、相手の立場になって話を聞く姿勢も大切です。クライアントの意図やニーズを正確に読み解くためには、こちら側の意図を伝えるだけでなく、相手の立場になって考えることも求められます。
さらに、社内でのコミュニケーションも欠かせないポイントです。投資銀行の業務はチームで進めることが多いので、上司や同僚、他部門との連携力も大事になるでしょう。ポジションが上になるほど、コミュニケーション能力と併せてリーダーシップも必要になるので、円滑な情報交換とチームワークを発揮する姿勢が期待されます。
高いビジネス英語力
外資系の投資銀行で働く際は、高いビジネス英語力が必要不可欠です。交渉やプレゼンテーションなど、あらゆるシーンで英語を使用するため、金融・投資分野の専門用語や業界特有の表現を理解し、正確に使いこなす必要があります。
特に、海外クライアントや多国籍企業を担当する場合は、契約書や財務資料の読解や専門性の高い議論への対応など、高度な英語力が必要となります。言語を習得していることも大事ですが、これらを正確かつ分かりやすく伝えるコミュニケーション能力も必須です。なお、USCPAを取得していれば、転職の際に英語力を示す要素の1つとなります。
長時間労働に耐えうる体力と精神力
高い成果を求められる環境のなかでは、長時間労働やプレッシャーに耐える体力と精神力が不可欠です。繁忙期には長時間勤務が続くため、継続してパフォーマンスを発揮する持久力が求められます。
また、プレッシャーを力に変えられる姿勢も大切です。個人としての成果だけでなく、チームとしての成果に対しても責任を持ち、高いモチベーションを保つことが必要になるでしょう。
公認会計士が投資銀行で生かせるスキル
投資銀行の業務は、キャピタルマーケット、M&A、コーポレートファイナンスなど高度な金融領域に及ぶため、専門的な金融知識も強く求められます。財務諸表の分析、株式市場や債券市場の理解に精通していることは、価値あるアドバイザリーを提供するうえで大きな強みです。CFAや公認会計士などの資格を保有している場合、専門性の証明となり、採用選考においても有利に働く可能性があります。加えて、投資銀行での業務では、経営や戦略的思考、ビジネススキルも重要です。
投資銀行からのキャリアアップも可能
公認会計士の投資銀行への転職は、会計中心の業務から、経営やコンサルティングに関する業務への大きな転換点といえます。身に付けられるスキルは多岐にわたり、専門知識やコミュニケーション能力など、どの業界でも重宝される人材に成長できる環境です。
投資銀行での実務経験を生かしてPEファンドへ転職するケースも多く見受けられます。ほかにも、スタートアップ企業の経営やコンサルティングファームなど、活躍できる場所は多岐にわたります。
投資銀行での業務は、肉体的にも精神的にもハードではありますが、その分、将来の選択肢が広がることが魅力です。投資銀行への転職は、比較的難しいとされています。自分の希望に合った転職を成功させるためには、プロの転職エージェントとともに、自分のスキルや特性を発信する必要があります。
よくある質問
ここまで、投資銀行の業務内容や年収の目安、必要なスキルについてまとめました。ここからは、投資銀行への転職を考える公認会計士からのよくある質問をご紹介します。
公認会計士が年収1,000万円に到達するのは何年目?
公認会計士で年収が1,000万円を超えるのは、入社してから数年〜10年ほどとされています。マネージャークラスに昇進するタイミングが一般的ですが、年収に関しては企業ごとに異なるため、あくまでも目安となります。
公認会計士は株取引ができる?
監査法人で働いている公認会計士は、基本的に株取引ができません。ただし、全ての株取引ができないわけではなく、所属する監査法人が監査を担当、またはアドバイザリーなどで関与している企業の株取引が禁止されていることが一般的です。
原則的に禁止されているのは、個別株の取引です。理由としては、インサイダー取引規制、監査法人の社内規制が挙げられます。監査法人によっては、監査対象の企業株以外の取引も禁止されている可能性があるので確認が必要です。
まとめ
公認会計士での実績や経験は、投資銀行でも役に立ちます。しかし投資銀行では、戦略的思考やリーダーシップなど、新たなスキルを身に付けることも必要です。投資銀行で身に付けた能力や経験は、さらなるステップアップにもつながります。
とはいえ、投資銀行への転職難易度は比較的高いといえます。転職の際は、公認会計士としての経験や自分の特性をうまく伝えることが必要です。マイナビ転職 会計士は、公認会計士の転職を徹底的にサポートします。投資銀行への転職を検討している方は、ぜひご登録ください。
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転職された方の声
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進路について適切なアドバイスをしてもらえました!自分の進路について明確な答えが出せていなかったものの、どの業種に進んだら良いかなど適切にアドバイスをしてもらえました。どういったキャリアを積んでいけばより市場価値を高められるのか、候補の会社がどう違うのかを具体的に説明していただけました。(30代/会計士) -
求人の提案力と面接のフィードバックが良かった!タイムリーな求人の紹介とフィードバックの提供が良かったです。面接前の情報提供では、自分のアピールしたい強みが、面接先企業のどこに符号しており、今後の展開をどう捉えているかの思考の整理をする際に役立ち、安心して面接を迎えることが出来ました。(30代/会計士)
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