監査法人とは、公認会計士が5人以上集まって設立する法人をさします。クライアントの依頼に応じて、財務書類の監査または証明を組織的に行うことを目的としています。監査法人については、公認会計士法第一章第一条の三第3項などに定めがあります。

監査法人の業務には監査業務と非監査業務があり、主業務である監査では複数名の公認会計士がチームを組み、業務にあたります。非監査業務であるアドバイザリー部門をもつ法人もあり、リスク管理やコーポレートガバナンスなどの内部統制に関するコンサルティングが主流となっています。

監査の中立性を保持するため、監査業務のクライアントに対するアドバイザリー業務には制限が設けられています。

公認会計士・監査審査会は「上場会社を概ね100社以上監査し、かつ常勤の監査実施者が1,000名以上の監査法人」を大手監査法人と定義しています。それに該当するのがBIG4と呼ばれる4つの監査法人です。それに準じた5法人が「大規模な監査法人に準ずる規模の監査法人（準大手監査法人）」とされています。

日本国内の上場企業の監査のほとんどを大手監査法人と準大手、中堅監査法人で担当しています。小規模監査法人では非上場企業や各種組合などの任意監査が中心ですが、上場企業をクライアントとするケースもあります。

＜BIG4監査法人＞
・有限責任あずさ監査法人　
・新日本有限責任監査法人　
・有限責任監査法人トーマツ
・PwCあらた監査法人

＜準大手監査法人＞
・仰星監査法人
・PwC京都監査法人
・三優監査法人
・太陽有限責任監査法人
・東陽監査法人

監査法人への転職

会計士が活躍できる転職先

監査法人はその業務の性質上、公認会計士の有資格者が優先的に採用される傾向があります。逆にいえば、公認会計士試験の合格やUSCPAの科目合格があれば、未経験からでも監査法人に転職するチャンスはあるということです。

監査法人にはアドバイザリー業務など、会計士資格がなくてもできる仕事はありますが、アドバイザリー業務は実務経験を求められる場合が多いです。

監査法人の多くは長年にわたって実務経験重視のキャリア採用が主流となっていましたが、ここ数年は未経験者の教育にも積極的に取り組み始めています。その背景には監査法人の業績の安定による求人増と、公認会計士試験受験者の減少や組織内会計士の需要増加などで、公認会計士の採用が難しくなっていることがあります。

監査法人の主業務である監査業務は公認会計士の独占業務ですから、有資格者の採用が中心になります。そのため、未経験者を採用する際には、書類選考の段階で公認会計士の試験合格がチェックされます。監査の実務経験はなくても、会計士試験の合格者であれば採用される可能性があるということです。

英語力とグローバルな会計知識の裏づけとなるUSCPA合格が有利になるといわれていますが、公認会計士の独占業務である監査業務を想定した求人では厳しい場合があります。

事業会社の経理職や会計事務所の勤務経験、金融機関の営業職、コンサルティング職など財務書類に接する機会が多い業務は、親和性が高い経験と評価される可能性があります。

未経験者の採用は入社後の育成が前提となりますので、資格取得という成果から、学習能力や自己管理能力、向上心などを人材としての資質を期待するという考え方もあるようです。

監査法人のキャリア採用のニーズは、未経験者の場合は20～30代といわれています。公認会計士試験受験のためのブランクがあっても、30代までは転職できる可能性があります。

40代であっても、ご自身の経験や採用市場の状況によっては監査法人に転職できる可能性はあります。ただし、20～30代前半の若手と比較するとハードルはあがり、資格だけではなく年齢相応の「キャリア」が求められます。たとえば、海外駐在の経験や特定業種に対する深い知見など、監査業務の経験はなくても、入社後の業務に活かせる強みが必要になります。

未経験者であっても年齢が高いから絶対に不利ということではなく、年齢に応じたキャリアやスキルで補うことはできます。

未経験分野への転職

●プロフィール

●転職の理由
営業職として大手銀行に入社。社風に馴染めないため転職を考え、仕事で数字を見る力を養えていたので、キャリア形成のために会計士資格の取得を思い立った。思い切って退職して専門学校に通い、2年後に会計士試験に合格。

●転職成功の経緯
ブランクの長さ、会計業務の経験がないことに不安を感じ、マイナビ会計士に登録。会計事務所、事業会社の経理職などの選択肢があったが、会計士資格を活かせる監査業務を提案された。紹介された法人は基本的に１回の面接で選考されるため、マイナビ会計士の専任キャリアアドバイザーと入念に面接対策を行い、内定を獲得できた。

●プロフィール

●転職の理由
会計士をめざし、営業職として入社した信用金庫を退職。試験合格した時期は志望する大手監査法人の募集が少なくて入社できず、事業会社の経理職、会計事務所で経験を積んだ。やはり、監査業務に携わりたいという思いから再転職を決意。

●転職成功の経緯
採用ニーズが20代中心であること、キャリアアップできる環境が課題となった。教育体制が整っている大手、中堅監査法人をマイナビ会計士のキャリアアドバイザーより提案いただき、選考に進むことができた。第一志望の監査法人の選考結果や日程調整を早めに進めてもらい、先に選考が進んでいた企業と比較でき、納得感を持って転職先を決めることができた。

●プロフィール

●転職の理由
事業会社で海外現地法人での経理、財務業務の経験を機にUSCPAを取得。資格取得後、より高度な会計業務に携わりたいという思いが強くなり、転職を決意。

●転職成功の経緯
M＆A業務や事業再生などのコンサルティングファームを希望するが、未経験では難しかった。監査業務からキャリアアップする方向性を提案された。その結果、挑戦したい求人が増え、希望する働き方に合った法人から内定を獲得できた。

社会全体で公認会計士が不足しているといわれており、監査法人でも未経験者やこれから資格取得する方を採用するケースが増えてくる可能性はあります。しかし、現状では未経験から監査法人への転職を成功させるのは有資格者または試験合格者、もしくはUSCPA取得などの付加価値をお持ちの方が有利というのが実情です。

マイナビ会計士では、会計士としてキャリアをスタートさせたい方を積極的にサポートしています。試験合格はこれからでも「会計士として働きたい」という夢をお持ちの方はお気軽にご相談ください。