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経理がUSCPA(米国公認会計士)を取得するメリットとは?難易度・活かせる業務・年収・キャリアパスなどを解説

経理がUSCPA(米国公認会計士)を取得するメリットとは?難易度・活かせる業務・年収・キャリアパスなどを解説

「経理としてキャリアアップしたい」「海外案件や連結決算に携わりたい」と考える経理担当者の間で、USCPAへの注目が集まっています。本記事ではUSCPAの概要や試験制度から、経理職が取得するメリット・デメリット、活かせる業務・キャリアパス・年収相場、そして働きながら合格するためのポイントをわかりやすく解説します。

後田 一輝(ペンネーム)

公認会計士

2008年より大手監査法人(BIG 4)にて、会計監査に従事。主に上場企業の会計監査、内部統制監査、金融機関の監査、米国基準の子会社の監査など幅広く従事。その後、2014年より同系列のM&Aコンサルファームにて、財務デューデリジェンス、株式価値算定などM&A業務に従事。 2018年には事業会社に転職、事業会社側でM&Aを推進。案件のコーディネートからPMIまで一通りの業務を推進。また、2021年には別会社に転職。事業推進に向け、事業計画の策定、事業戦略の策定、また、管理指標の管理などを行なっている。

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目次

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USCPA(米国公認会計士)とは

USCPAは、経理・会計の専門知識や、英語で会計を学習・理解する能力を示せる資格の一つです。まずは、USCPAの概要と試験制度、日本の公認会計士との違いを整理していきます。

USCPAの概要

USCPA(U.S. Certified Public Accountant)は、米国の各州・地域の会計士委員会が免許を付与する公認会計士制度です。試験は全て英語で出題され、会計・監査・米国税務・ビジネス法などの知識が問われます。

米国会計基準(US GAAP)や国際的な会計実務への理解を英語で証明することができるため、外資系企業やグローバルに事業を展開する日系企業で高く評価される場合があります。近年は経理・財務職のキャリアアップ手段として、働きながら取得を目指す社会人も増えています。

試験制度と受験資格

USCPA試験は、必須3科目(コア科目)と選択1科目(ディシプリン科目)の計4科目で構成されています。

  • 必須科目:AUD(監査及び諸手続)、FAR(財務会計)、REG(税務・ビジネス法)
  • 選択科目:BAR(ビジネス分析と報告)、ISC(情報システムとコントロール)、TCP(税務コンプライアンスとプランニング)のうち1科目

合否は科目ごとに判定され、各科目75点以上のスケールドスコアを取得すると合格です。日本では東京・大阪の試験会場で科目別に受験することができますが、受験可能な時期や結果発表のタイミングは科目によって異なるため、事前に日程を確認した上で計画を立てる必要があります。

また、受験資格は出願州ごとに定められ、教育要件は出願州・管轄により異なり、学位、会計単位・ビジネス単位の要件が求められることがあります。日本の大学卒業者は会計単位が不足しているケースもあり、予備校の提携大学などで単位を追加取得してから出願することを検討する必要があります。

日本の公認会計士との違い

USCPAと日本の公認会計士は、主に次の点で異なります。

  • 資格制度・登録:USCPAは米国の各州・地域の会計士委員会、日本の公認会計士は金融庁(公認会計士・監査審査会)が実施、日本公認会計士協会が備える名簿に登録
  • 試験制度:USCPAは科目別で受験が可能、受験可能日・試験会場・予約状況により異なる。日本は短答式・論文式の二段階制。
  • 独占業務:日本の公認会計士は国内の法定監査を独占的に行えるが、USCPAは日本国内の監査証明業務を単独では行えない
  • ライセンス要件:USCPAは全科目合格後、州ごとの実務経験要件などを満たしてライセンスを取得する

日本の公認会計士試験が数千時間の学習を要する難関資格であるのに対し、USCPAは科目別に合格を積み上げられるため、学習時間や受験ペースによって異なりますが、経理として働きながら1〜2年を一つの計画目安として全科目合格を目指す人もいます。

経理職がUSCPAを取得するメリット

経理として働きながらUSCPAを取得する主なメリットは、次の3つです。

会計知識・英語力・国際会計基準の理解を証明できる

最大のメリットは、「会計×英語」に関する知識や学習実績を資格という形で示しやすいことです。経理の実務経験だけでは、英語での会計処理や海外拠点とのやり取りができることを対外的に証明しにくいものです。しかし、USCPAを保有していれば、これを資格という形で伝えることができます。実務面でも、US GAAPを中心とする会計知識、連結決算や英文会計資料の読解に関する基礎知識が身につきます。

社内評価・担当業務の幅が広がる

USCPAを取得すると「会計と英語に強い人材」として認知されやすく、連結決算・開示、海外事業の経理サポート、内部監査、経営企画・FP&Aといったポジションへの異動や抜擢のきっかけになる可能性があります。単体決算や日常業務にとどまらず、より上流の業務に関わるチャンスが増えることは、キャリアアップにおいて大きな意味を持ちます。

転職市場での希少価値が高まる

転職市場において、経理の実務経験・英語業務経験と組み合わせることで、差別化につながる可能性があります。日系企業の海外進出やM&Aの活発化で、英語で会計業務を遂行できる人材へのニーズがある企業もあります。外資系企業の経理・財務部門、BIG4監査法人の関連部門、FAS・コンサルなど、応募できる求人の選択肢が広がり、結果として年収アップにつながる場合もあるでしょう。

経理職がUSCPAを取得するデメリット・注意点

一方で、USCPAの取得には相応のコストがかかり、注意点などもあります。

学習時間と費用の負担が大きい

合格に必要な学習時間は、1,000〜1,500時間程度が目安とされます。働きながら勉強する場合は、1〜2年にわたって平日の朝晩や休日を学習に充てることが必要です。

費用面では、受験料が出願州や受験地によって異なるほか、日本会場で受験する場合は国際会場手数料が別途かかります。単位取得費用や予備校の受講料などを合わせると、総額で数十万円から百万円超まで幅があり、100万円前後になるケースも珍しくないため、ある程度の費用を用意する必要があります。また、再受験が増えるほど費用はかさむため、計画的な学習が重要です。

資格だけでは評価・年収アップに直結しない

USCPAはあくまで知識とスキルの証明であり、取得しただけで自動的に評価や年収が上がるわけではありません。海外取引の少ない日系企業では、活かせる場面が限られることもあります。転職市場で評価されるのは、USCPAと決算・連結・開示などの実務経験の掛け合わせです。現職で関連業務の経験を積んでおくことが、資格を活かすポイントになります。

科目合格の有効期限とライセンス維持

科目合格には有効期限があり、期限内に全科目に合格しなければ、最初に合格した科目から順に失効します。有効期限は出願州によって異なり、30か月や36か月といった期間が設定されています。また、ライセンスを取得・維持する場合は州の実務経験要件を満たすほか、ライセンス維持には州ごとにCPEや更新手続、登録料が求められる場合があります。必要時間、更新周期、倫理要件、費用は州・管轄により異なるため、これらの内容も早めに見込んでおきましょう。

経理実務でUSCPAが活かせる業務・キャリアパス

USCPAの知識が活かせる業務と、事業会社内でのキャリアアップ、転職先、年収相場を解説していきます。

活かせる業務の具体例

活かせる業務の具体例は次の通りです。

  • 海外子会社管理・連結決算:海外拠点の決算パッケージの確認、会計基準差異の調整
  • 英文財務諸表の作成・レビュー:海外の親会社・投資家・金融機関向けレポーティング
  • US GAAP・IFRS対応:米国基準・国際基準に基づく会計処理の検討
  • M&A・組織再編:財務デューデリジェンス、のれんの評価、統合後の経理体制構築
  • 内部統制・内部監査:J-SOX・US-SOX対応、業務プロセスの評価・改善

いずれも、英語と会計の専門知識の両方が求められる業務であり、USCPAを持つ経理人材が力を発揮しやすい領域です。

事業会社内でのキャリアアップ

事業会社では、「経理スタッフ(単体決算・仕訳など)→連結決算・開示担当→経理マネージャー・海外拠点のCFO補佐→経理部長・CFO候補」といったキャリアアップが考えられます。USCPAの知識は連結・開示やグローバルな経理体制の構築と親和性が高く、昇格・異動の際にアピールできる材料になります。また、駐在員として海外拠点の経理責任者を任されるケースもあります。

目指せる主な転職先

転職先として考えられる主な選択肢は次の通りです。

  • 外資系企業の経理・FP&A:US GAAPでの月次決算や本国へのレポーティングを担う。英語での業務遂行力と決算経験が必要。
  • 日系グローバル企業の海外経理・連結担当:海外子会社の管理や連結決算を担当。日本基準の知識と海外拠点との調整力が重視される。
  • 会計系プロフェッショナルファーム:監査補助やアドバイザリー部門など。事業会社での経理経験を活かした支援が評価される。
  • FAS・コンサルティングファーム:財務デューデリジェンスや経理業務改善を担当。決算実務の知識と分析力が求められる。

どの転職先でも、資格に加えて「どのような経理業務を、どの規模・体制で経験してきたか」が問われます。自身の経験と目指すキャリアに合わせて選びましょう。

USCPA取得者の年収相場

年収は組織や役職、経験年数によって異なりますが、求人情報や転職市場の傾向を見ると、年収レンジの一例として次のようなケースがあります。

  • 事業会社(日系)の経理:400万〜800万円程度。連結・開示担当やマネージャー職で上位レンジになる場合も
  • 外資系企業の経理・FP&A:600万〜1,000万円程度。マネージャー以上では1,000万円超も
  • BIG4監査法人:スタッフ500万〜650万円、シニア700万〜850万円、マネージャー900万〜1,100万円程度
  • コンサルティングファーム・FAS:スタッフ500万〜600万円、マネージャー900万〜1,400万円程度

経理の実務経験を持つUSCPA取得者は、高い水準で評価されやすい傾向があります。ただし、個人の経験や企業の給与水準によって差があるため、あくまで目安として考えてください。

経理として働きながらUSCPAに合格するためのポイント

働きながら合格するには、繁忙期を踏まえたスケジュール管理と、実務経験を活かした科目戦略がカギになります。

学習スケジュールの立て方

経理職は決算期に業務が集中するため、決算期・繁忙期を避けて受験日を設定し、1科目ずつ確実に合格していく計画を立てることが重要です。3月決算の企業であれば、4〜5月や各四半期決算の作業期間を避け、6月や8〜9月などに受験日を置くと直前期の学習時間を確保しやすくなります。

平日は通勤時間や始業前の1〜2時間、休日は5〜6時間を目安にすると週15〜20時間程度を継続できます。学習進度・科目・既存知識などによって異なりますが、1科目あたり3〜4か月、全科目で1年〜1年半程度が合格までの目安となるでしょう。

受験順・科目選択のコツ

経理経験者は、日常業務との親和性が高いFAR(財務会計)から着手する選択肢がおすすめです。決算や仕訳の知識をベースに学習でき、FARの内容は他科目の土台にもなります。

選択科目は、目指すキャリアに応じて決めていきましょう。事業会社の経理・財務や経営分析ならBAR、IT統制や内部監査ならISC、米国税務を専門にしたいならTCPが候補です。一方、迷う場合はFARと重なる範囲が多いため、BARが選びやすいでしょう。

合格後のキャリア設計と転職エージェント活用

USCPAは、「合格後にどう活かすか」を早い段階で設計しておくことが大切です。現職で連結・開示や海外関連の業務を担当できるよう相談するなど、資格と実務経験を掛け合わせる動きを合格前から始めておきましょう。

転職を視野に入れる場合は、経理・会計に特化した転職エージェントを活用し、USCPAを評価する求人を効率よく探すのがおすすめです。会計業界に精通したキャリアアドバイザーであれば、USCPA取得者を求める求人の紹介に加え、自身の市場価値の判断や応募書類・面接でのアピール方法についても具体的なアドバイスを受けることができます。

まとめ

USCPAは、経理職が「会計×英語」のスキルを客観的に証明できる資格です。連結決算や海外子会社管理、US GAAP対応などの業務や、外資系・監査法人・コンサルへの転職に活かせます。一方で、学習時間・費用の負担や科目合格の有効期限といった注意点もあります。決算期を踏まえた学習計画を立て、実務経験と掛け合わせながら、USCPAをキャリアアップにつなげていきましょう。

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