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令和3年(2021年)公認会計士試験(短答式)結果速報|傾向と受験後の流れ

令和3年(2021年)公認会計士試験(短答式)結果速報|傾向と受験後の流れ

令和3年(2021年)公認会計士試験(短答式試験)の合格発表が、6月18日に行われました。受験者9,524名のうち、合格者は2,060名、合格率は21.60%という結果になりました。昨年に続き、新型コロナウィルスの感染状況を考慮して大幅に変更がなされた短答式試験ですが、受験者や合格者の数に影響は出ているのでしょうか。過去10年の動向を振り返るとともに、合格発表後に行うべきポイントをまとめてご紹介します。

マイナビ会計士編集部

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令和3(2021)年公認会計士試験(短答式試験)の総括と過去10年間の推移

令和3(2021)年短答式試験は、前年の第Ⅰ回短答式試験比で合格者921名増加

公認会計士試験(短答式試験)は例年、12月と5月の2回試験が実施されていましたが、新型コロナウィルスの感染状況を考慮して、令和2(2020)年は第Ⅱ回短答式試験の試験日が12月9日と大幅に延期になり、令和3(2021)年も5月23日の「1回のみ実施」に変更されました。

■短答式試験 令和2(2020)年・令和3(2021)年の試験日・合格発表日

年度 試験日 合格発表日
令和2(2020)年 第Ⅰ回短答式試験 令和元(2019)年 12月8日 令和元(2019)年 1月17日
令和2(2020)年 第Ⅱ回短答式試験 令和2(2020)年 8月23日 令和2(2020)年 9月18日
令和3(2021)年
短答式試験 ※1回のみ実施
令和3(2021)年 5月23日 令和3(2021)年 6月18日

6月18日に公表された結果によると、令和3(2021)年短答式試験の受験者数は9,524名で合格者は2,060名、合格率は21.60%。昨年の第Ⅰ回短答式試験と比較すると、合格者が921名増加し、合格率は5.88ポイント上昇しました。

平時とは異なる状況の中、コツコツと勉強を続けて見事、短答式試験に合格した皆さん、おめでとうございます。合格した方も、残念ながら不合格になってしまった方も、次のステップに向けて、早めに準備に取り掛かりましょう。

第Ⅰ回短答式試験の受験者・合格者数の推移

第Ⅰ回短答式試験の受験者・合格者数の推移

合格者は1,000名前後、合格率は15%前後で推移

では、短答式試験及び論文式試験の受験データを振り返りながら、受験者の動向について見ていきましょう。

■第Ⅰ回短答式試験 願書出願者数・受験者数(答案提出者数)・合格者数・合格率の推移
※令和3年は一回のみの実施のため、ここでは第Ⅰ回短答式試験に含めています。

年度 第Ⅰ回願書提出者数 第Ⅰ回受験者数※平成25年から答案提出者数 第Ⅰ回合格者数 合格率
平成23(2011)年 17,244人 17,244人 1,708人 9.90%
平成24(2012)年 13,573人 13,573人 820人 6.00%
平成25(2013)年 9,984人 7,850人 1,071人 13.60%
平成26(2014)年 7,689人 5,971人 1,003人 16.80%
平成27(2015)年 7,207人 5,548人 883人 15.90%
平成28(2016)年 7,030人 5,479人 863人 15.80%
平成29(2017)年 7,818人 6,045人 1,194人 19.80%
平成30(2018)年 8,373人 6,569人 1,090人 16.60%
令和元(2019)年 8,515人 6,610人 1,097人 16.60%
令和2(2020)年 9,393人 7,245人 1,139人 15.70%
令和3(2021)年 14,192人 9,524人 2,060人 21.60%

毎年12月に試験が実施される第Ⅰ回短答式試験の過去10年のデータを見てみると、平成23(2011)年・平成24(2012)年は合格率が10%を切っているものの、平成25(2013)年以降は15%前後で推移していることがわかります。合格者数も1,000名前後で安定しており、合格率や合格者数が大きく変化している年はないようです。

令和2(2020)年は、試験日が令和元(2019)年12月8日と新型コロナウィルスが蔓延する以前だったこともあり、特に大きな変化は見られていません。受験者数(答案提出者数)・合格者数・合格率ともに例年並みの結果となっています。

令和3年は短答式試験が一回のみの実施のため、例年よりも願書提出者数、受験者数が集中しており、合格者数、合格率も高く見えます。

第Ⅱ回短答式試験の受験者・合格者数の推移

第Ⅱ回短答式試験の受験者・合格者数の推移

年度によってばらつきあり。令和2(2020)年は、コロナの影響特にみられず

では、第Ⅱ回短答式試験はどうでしょうか。

■第Ⅱ回短答式試験 願書出願者数・受験者数(答案提出者数)・合格者数・合格率の推移

年度 第Ⅱ回願書提出者数 第Ⅱ回受験者数※平成25年から答案提出者数 第Ⅱ回合格者数 合格率
平成23(2011)年 17,374人 14,970人 523人 3.50%
平成24(2012)年 12,991人 10,722人 454人 4.20%
平成25(2013)年 9,477人 6,000人 695人 11.60%
平成26(2014)年 8,156人 4,927人 402人 8.20%
平成27(2015)年 7,637人 4,503人 624人 13.90%
平成28(2016)年 7,968人 4,740人 638人 13.50%
平成29(2017)年 8,214人 4,916人 475人 9.70%
平成30(2018)年 8,793人 5,346人 975人 18.20%
令和元(2019)年 9,531人 5,604人 709人 12.70%
令和2(2020)年 9,383人 5,616人 722人 12.90%

平成25(2013)年以降、合格率が15%前後で推移している第Ⅰ回短答式試験に対して、第Ⅱ回短答式試験は年度によってばらつきがみられます。平成26(2014)年や平成29(2017)年のように合格率が10%を切る年もあれば、平成30(2018)年のように20%近い合格率を出した年もあります。

令和2(2020)年は新型コロナウィルスの影響により、日程が令和2(2020)年8月23日に大幅延期となりましたが、ふたを開けてみると受験者数(答案提出者数)・合格者数・合格率ともに前年とほぼ変わらず。合格者数は13人増え、合格率も0.2ポイント上昇しています。

論文式試験の受験者・合格者数の推移

論文式試験の受験者・合格者数の推移

例年、合格率35%前後で安定、論文式試験もコロナの影響は特にみられず

次に、論文式試験の動向についても見ていきましょう。

■論文式試験 願書出願者数・受験者数・合格者数等の推移

年度 願書提出者数 受験者数 合格者数 前年度比 合格率
平成23(2011)年 23,151 4,632 1,511 530人減 32.60%
平成24(2012)年 17,894 3,542 1,347 164人減 38.00%
平成25(2013)年 13,224 3,277 1,178 169人減 35.90%
平成26(2014)年 10,870 2,994 1,102 76人減 36.80%
平成27(2015)年 10,180 3,086 1,051 51人減 34.10%
平成28(2016)年 10,256 3,138 1,108 57人増 35.30%
平成29(2017)年 11,032 3,306 1,231 123人増 37.20%
平成30(2018)年 11,742 3,678 1,305 74人増 35.50%
令和元(2019)年 12,532 3,792 1,337 32人増 35.30%
令和2(2020)年 13,231 3,719 1,335 2人減 35.80%

論文式試験は、例年、8月下旬に試験が実施され、11月中旬に合格者の発表があります。令和2(2020)年は、第Ⅱ回短答式試験に加えて論文式試験も日程が変更になり、3か月後ろ倒しの11月14・15日に試験が実施されました。

過去10年のデータを見てみると、論文式試験の合格率は35%前後で推移していることがわかります。願書提出者数・受験者数は10年前の平成23(2011)年から減少傾向にあったものの、平成29(2017)年ごろから持ち直しています。、令和2(2020)年は合格者数が前年比2人減、合格率は0.5ポイント上昇となっており、第Ⅱ回短答式試験と同様に、論文式試験もコロナの影響は特になかったようです。

合格ラインの推移

合格ラインの推移

令和2(2020)年第Ⅰ回短答式試験は、合格ラインが大幅ダウン

公認会計士短答式試験の合格基準は、「総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率とします。ただし、1科目につき、その満点の40%に満たないもののある者は、不合格となることがあります」と定義されています。年度ごとの合格ラインの推移は以下の通りです。

■短答式試験 合格ラインの推移
※令和3年は一回のみの実施のため、ここでは第Ⅰ回短答式試験に含めています。

年度 第Ⅰ回短答式試験 第Ⅱ回短答式試験
平成23(2011)年 73% 73%
平成24(2012)年 70% 67%
平成25(2013)年 67% 67%
平成26(2014)年 70% 68%
平成27(2015)年 60% 67%
平成28(2016)年 67% 66%
平成29(2017)年 71% 64%
平成30(2018)年 70% 64%
令和元(2019)年 63% 63%
令和2(2020)年 57% 64%
令和3(2021)年 62%

「総点数の70%」と定められているように、短答式試験の合格ラインは70%前後で推移しています。しかし、令和2(2020)年第Ⅰ回短答式試験は57%と、前年度よりも6ポイント減少。70%という基準を考慮しても、かなり低い数字であることがわかります。

公認会計士試験合格者の概要

公認会計士試験合格者の概要

職業別では、「学生及び専修学校・各種学校受講生」が大多数を占める

最後に、公認会計士試験合格者の平均年齢や最高年齢・最低年齢、職業別合格者数について見ていきましょう。

■公認会計士試験の合格者の概要

年度 平均年齢 最高年齢 最低年齢 学生及び専修学校・各種学校受講生 会社員
平成23(2011)年 25.6歳 64歳 19歳 1,156人 55人
平成24(2012)年 26.6歳 59歳 18歳 981人 52人
平成25(2013)年 26.2歳 57歳 19歳 899人 54人
平成26(2014)年 26.8歳 67歳 17歳 803人 63人
平成27(2015)年 27.1歳 67歳 19歳 718人 94人
平成28(2016)年 26.2歳 67歳 19歳 795人 70人
平成29(2017)年 26.3歳 62歳 19歳 840人 106人
平成30(2018)年 25.0歳 55歳 18歳 940人 86人
令和元(2019)年 25.2歳 62歳 18歳 921人 83人
令和2(2020)年 25.5歳 61歳 18歳 893人 95人

短答式試験合格者の平均年齢は、おおむね25歳前後となっています。最高年齢・最低年齢もほぼ変わらず、それぞれ65歳前後・18~19歳となっています。

また、合格者を職業別に見ると、「学生及び専修学校・各種学校受講生が圧倒的に多い」という特徴も見えてきます。この結果から、独学で公認会計士試験に臨む人は少なく、多くの受験生が予備校などで集中的に勉強に取り組んで試験に臨んでいることがわかります。

令和3(2021)年公認会計士試験(短答式試験)合格発表後に行うこと

令和3(2021)年公認会計士試験(短答式試験)合格発表後に行うこと

論文式試験まで約2か月、試験の準備に集中する

短答式試験は公認会計士試験の最初のステップであり、合格後は次のステップである論文式試験に合格する必要があります。

論文式試験は例年、8月に実施され、11月に合格発表があります。第Ⅰ回短答式試験の合格発表は例年1月、第Ⅱ回短答式試験の合格発表は6月ですから、第Ⅰ回短答式試験は7か月の準備期間が、第Ⅱ回短答式試験は2か月の準備期間があります。

ただし、令和2(2020)年は新型コロナウィルスの影響により、第Ⅱ回短答式試験及び論文式試験の日程に変更があったため、注意が必要です。

■論文式試験 令和2(2020)年・令和3(2021)年の試験日・合格発表日

年度 試験日 合格発表日
令和2(2020)年 令和2(2020)年 11月14日~ 11月15日 令和3(2021)年 2月16日
令和3(2021)年 令和3(2021)年 8月20日 ~ 8月22日 令和3(2021)年 11月19日予定

令和3(2021)年短答式試験の合格発表日である6月18日から、令和3(2021)年論文式試験の試験日である8月20日まで約2か月。この期間をどのように過ごすかが、合格のカギを握ると言っても過言ではないでしょう。

論文式試験の科目は、必須科目・選択科目併せて9科目あります。

■必須科目:財務会計論(簿記・財務諸表論)、管理会計論、監査論、企業法、租税法
■選択科目:経営学、経済学、民法、統計学(この中から1科目選択)

論文式試験は偏差値方式で採点されます。合格基準は得点比率(偏差値)52%が目安ですが、1科目でも満点の40%に満たない科目がある場合は不合格となる場合があるのでご注意ください。

なお、金融庁が2009年12月に実務補習所入所ガイダンスの参加者を対象に行ったアンケートによれば、短答式試験合格から論文式試験合格までの期間は「平均0.9年」となっています。

短答式試験に合格した年に論文式試験も受験して早期合格を目指すか、それとも短答式試験合格後、1~2年かけてじっくり準備を行ってから論文式試験に臨むか。自分に合った戦略を立てましょう。

転職を視野に入れて情報収集する

公認会計士になるには、公認会計士試験(短答式試験と論文式試験)に合格後、2年間の実務(業務補助)を経験し、3年間の実務補習を受けて修了考査に合格する必要があります。

実務経験は、監査法人で監査証明業務に携わり、その補助の役割を果たす「業務補助」に従事する方法と、一般事業会社等に常勤として勤務し、法令(公認会計士法施行令第2条)で定められた業務を行う「実務従事」に従事する2つの方法がありますが、ほとんどの人が監査法人に転職して実務経験を積んでいます。

そのため、短答式試験に合格したら、論文式試験の勉強と並行して転職に向けた情報収集をすることをお勧めします。

不合格だった場合、次のチャレンジに向けて速やかに準備をする

短答式試験に不合格だった場合は、次の試験を視野に入れて準備をしましょう。令和3(2021)年は短答式試験が1回のみでしたが、令和4(2022)年は例年通り、2回実施される予定です。

■令和4(2022)年 公認会計士試験(短答式試験)実施スケジュール(予定)

年度 願書配付期間 出願期間(書面) 出願期間(インターネット) 試験日 合格発表日
令和4(2022)年
第Ⅰ回短答式試験
令和3年8月10日~令和3年9月10日 令和3年8月27日
~令和3年9月10日
令和3年8月27日
~令和3年9月16日
令和3年12月12日 令和4年1月下旬
令和4(2022)年
第Ⅱ回短答式試験
令和4年1月中旬
~令和4年2月中旬
 令和4年2月上旬
~令和4年2月中旬
令和4年2月上旬
~令和4年2月下旬
令和4年5月29日 令和4年6月下旬

次のチャレンジまで半年近くありますから、まずはゆっくり休んで英気を養い、疲れが取れたら改めて「敗因」を探ってみましょう。「勉強時間が十分に取れなかった」「苦手科目を克服できなかった」など、不合格の原因が見えてきたら、改めて受験までのスケジュールを組み直し、再スタート!「次回は必ず合格する」という強い意志を持って勉強に励みましょう。

公認会計士試験は長丁場。先の行動も読みながら、効率よく準備を進めていこう

公認会計士試験は長丁場。先の行動も読みながら、効率よく準備を進めていこう

短答式試験合格発表を迎えた今、私たちにできること

言うまでもなく公認会計士は難関国家資格であり、多くの時間を割いて勉強を続け、試験に臨むことが大切です。短答式試験に合格しても次のステップである論文式試験が待っていますし、論文式試験に合格後も実務経験や実務補習を積まなければなりません。

特に昨年以降は、新型コロナウィルスの流行を受けて試験日程や回数が変更されるなど、受験者の方々が多くの負担を強いられています。しかし、どのような状況であっても、いつも通りコツコツと勉強を続け、冷静に試験に臨んだ人が、最後には「勝者」となるのかもしれません。

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