公認会計士とUSCPA、試験制度や目指せるキャリアパス等の違いは?
近年人気が高まっている米国公認会計士ですが、なんとなくは聞いたことがあっても具体的な試験科目や合格率などの試験制度の違いなどについては知らない人が多いかもしれません。また、公認会計士との違いについても知らない人もいるかもしれません。試験制度の違いやおすすめポイント、目指すべき人などについて公認会計士と比較しながら、解説していきます。
マイナビ会計士編集部
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目次
試験制度の違い
公認会計士とUSCPAでは、試験制度が大きく異なります。それとともに、試験の合格率や難易度、受験のしやすさなども違うので注意しましょう。公認会計士とUSCPAについて、それぞれの制度の違いを解説します。
試験形式
まず、試験形式がそれぞれで異なります。公認会計士は短答式と論文式の二段階の試験となっていますが、USCPAは4択問題のMultiple choiceと総合問題のTask-Based Simulationsの混じった問題の一発勝負の試験です。また、公認会計士は短答式と論文式で指定された科目について、すべてを一気に受験することとなります。一方、USCPAは科目ごとに受験することになります。
受験資格
公認会計士とUSCPAでは、受験資格も大きく異なります。過去には公認会計士について、大学もしくは短大の卒業資格が要件として設けられていました。しかし、現在の新制度になってから受験資格はなく、基本的に誰でも受験できる試験に変わっています。
一方、USCPAはアメリカの州によって受験資格が異なり、学位要件と単位要件があります。州によって異なるため、受験するときは自分の単位等の状況で受験できるのか確認が必要です。
試験科目
公認会計士の試験科目は短答式で4科目(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法)、さらに論文式で4科目の必須科目(会計学(財務会計論と管理会計論)、監査論、企業法、租税法)と1科目の選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のうち、1科目)です。一方、USCPAの試験科目は3科目の必須科目(FAR、AUD、REG)と1科目の選択科目(BAR、ISC、TCP)となっています。試験科目の数も、公認会計士とUSCPAでは異なります。
出題形式
出題形式もそれぞれで異なり、公認会計士はマーク式と論文となっていますが、USCPAはコンピューターで受験するCBTです。マーク式や論文は馴染みがあるかもしれませんが、コンピューターで受験するCBTはあまり馴染みがないかもしれません。試験形式に慣れることも合格への近道となります。
合格率
合格率は2023年の公認会計士試験で7.6%となっており、だいたい10%弱で推移しています。一方、USCPAは旧試験制度ではありますが、2023年Q3時点でAUDは46.92%、BECは56.52%、FARは42.94%、REGは59.19%。全体で、おおむね50%前後での推移となっています。公認会計士とUSCPAでは、難易度が大きく異なることが分かるでしょう。ただし、USCPAが新制度となって、どの程度の合格率になるのかは注目です。
試験日程
公認会計士の試験は短答式が年に2回(12月と5月)、論文式が年に1回(8月)の実施となっています。一方、USCPAは毎日でも受験することが可能です。前述した合格率とも関わりますが、現時点ではUSCPAの方が受験しやすく、かつ合格しやすい資格と言えるでしょう。
勉強時間
公認会計士の合格に必要な勉強時間は、おおむね3,000時間前後と言われています。一方、USCPAは1,000〜1,500時間と言わる点も大きな違いです。もちろん、個人のその時点の知識によっても前後しますが、勉強時間は公認会計士の方が長くなっています。USCPAは勉強時間が短いうえ、新試験ではITの基礎知識が試験範囲となっています。それらの基礎知識やビジネス英語のスキルも身につけることができるという点も、受験者にとってはメリットとなるでしょう。
おすすめのポイント
公認会計士とUSCPAでは知名度なども異なります。それぞれの資格について、おすすめのポイントをご紹介します。
活動範囲
公認会計士は日本での監査証明について独占業務となっています。そのため、メインの活動範囲は日本国内です。一方、USCPAは試験が州によって異なるため、ライセンスを取得した州での活動がメインになります。また、USCPAの場合は国際相互承認協定参加国でも活動が可能です。具体的には、オーストラリアやカナダ、ニュージーランドなどが活動できる国に含まれます。
知名度
公認会計士は医師や弁護士と並ぶ三大国家資格となっており、日本での知名度は抜群です。一方、USCPAはアメリカにとどまらず、世界的に知名度が高い資格となっています。上述した国際相互承認協定参加国でも活動することができるため、日本の公認会計士と比較すると、世界での知名度は高い資格と言えるでしょう。
目指すべき人
最後に、公認会計士とUSCPAで目指すべき人について解説します。ここまで、試験制度の違いやおすすめポイントを解説してきました。また、各資格のメリットも異なりますので、それらを踏まえて自分が目指す資格を検討するのがよいでしょう。
グローバルで活躍したいかどうか、キャリアパスの違い
公認会計士は日本での知名度が高いため、国内で活躍したいのであれば公認会計士を選択するのがおすすめです。一方、世界的な知名度はUSCPAの方が高く、グローバルに活躍したいのであればUSCPAを選択した方がよいでしょう。
また、国内でもUSCPAの資格保有者は英語力があると見られるため、外資系企業の子会社などでも活躍することが可能です。資格によってキャリアパスが異なりますので、自分に合った資格を選んでください。
深い専門性か、英語×会計の掛け合わせか
公認会計士は会計の専門家です。特に国内においては、どの資格よりも会計についての知識が深くなります。一方、USCPAであれば、勉強の過程でも試験でも英語を使うこととなります。会計について公認会計士ほど深い知識が得られるかは分かりませんが、英語と会計を掛け合わせるという面では強い資格です。
勉強時間の有無
先述した通り、勉強時間が大きく異なります。また、試験制度も異なり、1回に受験する科目数も違います。公認会計士は必要な勉強時間が多くて試験科目も多いため、時間をかけることができる人が目指すとよいでしょう。一方、時間に余裕がない社会人などが目指すいは、USCPAの方が適しているかもしれません。勉強時間と試験制度を含めると、USCPAの方が有利に進めることができます。
英語に苦手意識がないか
当然ながら、USCPAは試験を英語で行います。そのため、英語に対する苦手意識の有無は、USCPAを目指すべきかどうかの判断基準となるでしょう。英語に苦手意識がないならUSCPAを目指すことは可能ですが、英語が苦手なのであれば公認会計士の方が向いているとも言えます。
まとめ
ここまで、公認会計士とUSCPAの違いについて解説しました。それぞれ試験制度などに違いがあるため、おすすめのポイントや目指すべき人は異なります。勉強等に費やせる時間や資格取得後のキャリアパスなど、資格毎に向き不向きがあるでしょう。自分がどちらを目指すべきなのか、本記事の内容を参考にしながら十分に検討してください。
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