数多くの外資系企業が日本国内に事務所を構えている現在、求人サイトなどで外資系企業の求人情報が日常的に掲載されています。中には、国内の企業で会計の経験を積んだ後ステップアップ先の一つとして「外資系企業の会計職」を検討することもあるでしょう。そこで今回は、外資系企業への転職についてご紹介します。

目次

外資系企業の市場動向

市場は活発。転職希望者は前向きに検討を。

「外資系企業の会計職」は、米国会計などの専門性を発揮して働きたい方はもちろん、語学力を活かしたいという方にとっても向いた仕事と言えるでしょう。

募集職種は、経理、会計、財務、内部監査などさまざま。主な配属部門としては、経理部門や内部監査部門などがあり、求職者のそれまでの経験や資格などから配属先が決まります。

日本に進出している外資系企業のうち、約43%がヨーロッパの企業で、その中で最も多いのがドイツ、次いでフランス、イギリスとなっています。アメリカは約23%で、アジア系企業は約27%となっています。

業種別に見ると、卸売業が40%近くを占めています。メーカーは16.5%、サービス業15.6%、情報通信業10.9%となっています。

外資系企業でも日本の企業と同様に、業界全体が好調な業態や、業績が好調で事業を拡大する計画がある企業は、積極的に採用を行っています。また、新規事業への進出を検討している企業なども、積極的に採用を行う傾向にあります。

いずれにしても、グローバル化の波により外資系企業が積極的に進出し、企業数は年々増加傾向にあります。会計業務はほとんどの業種で採用を行っており、市場は活発です。外資系企業への転職を目指している方は、前向きに検討すると良いでしょう。

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外資系企業の採用ニーズ

公認会計士の有資格者が優遇される

一般的に、外資系企業は資格を高く評価する傾向にあります。有資格者でなければ仕事に就けないわけではありませんが、採用に当たっては公認会計士やUSCPA(米国公認会計士)などの有資格者が優遇される傾向にあります。

日本の監査法人での経験も評価対象です。特に外資系企業の日本法人を監査した経験や、海外での駐在経験が高く評価されます。

語学スキルもアピールできる

また、上司や同僚が外国人であることも多々あります。そのため、一定レベルの語学力を備えている求職者は歓迎されやすいでしょう。

業務で外国語を使用することもありますが、この場合も、高い語学スキルが求められるわけではありません。社内での公用語を外国語に限定している企業でなければ、外国語を使うシーンは会計に関わる部分に限られます。

「TOEICで高得点を取る必要があるのでは」と身構える必要はありません。外国語に興味がある方や、過去に語学の勉強をしてきた方、これから吸収していきたいという意欲ある方なら十分に採用される可能性があります。

一方、「語学力に自信があるので、転職先で活かしたい」という方は、公用語が外国語の会社を検討することをお勧めします。

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求められるスキル・能力・経験

国際会計基準の会計経験と相応の語学力

では実際に外資系企業で働くにあたり、どのようなスキルや能力、経験が求められるのでしょうか。

公認会計士やUSCPA(米国公認会計士)の資格に加えて、国際会計基準の会計経験がある場合、高く評価される傾向にあります。前職の経験としては、会計事務所や監査法人での就業経験や海外との取引経験、海外に子会社を持っている大手企業や上場企業での経理・税務の経験があると、他の転職希望者と差別化を図れるでしょう。

また、外資系企業でも日常会話は日本語で行われている企業が多いのですが、前述のとおり、上司や同僚が外国人であることも考えられます。そのため、日常会話程度の語学力があることが求められます。

また、会計業務では、海外にある親会社とのやり取りや、提出資料を英語で記載する必要があるなど、相応の語学力が求められます。

なお、TOEICの点数は企業によってラインが異なります。外資系企業でも「650点程度」とするところもあるため、あくまで目安として考えておきましょう。

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外資系企業のキャリアパス

実力主義により、成果を出した者が昇格

キャリアステップの面で、日本企業と比べると外資系企業は大きく違います。日本企業の場合、近年は成果ベースを採用している企業も増えてきましたが、年功序列制度や終身雇用制度を採用している企業も数多く存在します。

対して、外資系企業は成果主義で評価を行うケースがほとんどです。年齢や男女になどの違いに関係なく、成果を出した者が出世や責任が求められる役割に就いていきます。これは公認会計士に限らず、どの職種でも同様です。

年功序列のように勤務した年数で評価せず、本人の能力や成果を評価し、給与や役職に反映させていく。これが外資系企業の大きな特徴です。逆に考えれば、実力次第で降格や減給も十分にあり得ます。常に成果を求められるため、プレッシャーを感じる人も中にはいるでしょう。

外資系企業への転職を考えているのであれば、キャリアダウンと呼ばれる降格や、昨日までの部下が上司になるなど、日本企業では考えられないことも起こる覚悟を持っておきましょう。自分の考えや成果をしっかりとアピールしていく姿勢が大切です。

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外資系企業の年収・給与

高水準が期待できるが、個人差が大きい

外資系企業の年収・給与は、日本企業より優っているイメージがありますが、実際ところはどうでしょうか。

成果主義を採用している外資系企業は、成果により収入が増減するため、日本の企業よりも高額な収入が期待できるケースもあります。外資系企業の年収はベース給とインセンティブ給の合計により決まる場合が多く、前者は役職などから算出され、後者はその名の通り、本人の成果や企業の業績などによって決まります。

そのため、同じ年齢・経験の社員でも、給与の幅に大きな差が出ることもありますし、募集される職種によっては、同じ会社でもまったく違う賃金が提示されていることも珍しくありません。

さらに、業種によっても年収・給与に開きがあります。外資系企業への転職を考えている方は、同じ業種や職種であっても、新しい企業を検討するたびに、条件を確認することが大切です。

福利厚生も考慮して検討することが大切

外資系企業の給与水準は比較的、高い水準にあるものの、福利厚生を用意していない企業がほとんどです。そのため、日本企業と比較・検討する際には、福利厚生も含めて年収を算出することが大切です。場合によっては、住宅手当や退職金制度など福利厚生を考慮すると、年収が逆転することもあり得るのでご注意ください。

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