IASBがIFRSにおける「のれん」処理の見直しに着手
2018/09/19
IFRS財団に属する独立の会計基準設定機関でIFRS(国際会計基準)の設定を行っており、基準の開発や改訂の検討項目の設定やプロジェクト計画の策定とその実行について全面的な裁量権を有しているIASB(国際会計基準審議会)は、大型のM&Aが相次ぐなかで企業財務への影響が強まっていることを考慮し、企業買収を巡る会計処理の見直しに着手したことを明らかにした。
議論の焦点になっているのはM&Aの際に発生する、買収代金のうち相手企業の純資産以上に支払った部分である「のれん」。
現在、IFRSではのれんの定期償却は必要ないが、買収先の財務が悪化したときなどに「のれん」の価値を下げる減損損失の計上が必要で、これにより突如として巨額の損失が発生するリスクがあり、投資家にとってはデメリットが大きいと言われている。
日本の会計基準では最長20年で「のれん」を償却している。IASBは費用計上義務付けの議論を開始し、2021年にも結論を出す予定という。
編集部からの一言
IASBがIFRSにおける「のれん」処理の見直しを着手したことを受けて、日本公認会計士協会の関根愛子会長は「しっかりと議論していく必要がある」として、見直しに対して前向きな姿勢を示した。
また、日本の会計基準では最長20年で償却している状況を鑑みて、「定期償却の良さや減損の問題点も指摘するべき」とコメント。のれんの見直しに関する結論が出るまで、残り3年弱。有効な議論をし尽くしたうえでの結論を期待したい。
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