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会計基準の変更が一因で「のれん」が急増
2017/03/29

会計基準の変更が一因となり、上場企業の「のれん」が急激に増加している。のれんとは企業がもつ技術力や知名度、人材などを含めた無形資産のこと。2016年末時点で約3,600社の上場企業の「のれん」の総額は前年比4兆8,000億円増の29兆2,000億円で、2006年以降はほぼ右肩上がりを続けている。その原因とされているのが「成長企業がM&Aに踏み切っていること」と「のれんを定期的に処理しないIFRSなどへの会計基準の変更」だ。

日本の会計基準の場合、のれんの一定額を毎年「費用」として処理する定期償却を実施しているが、近年は定期償却の必要がないIFRSや米国会計基準への切り替えを決める企業も増えている。ただし、定期的に償却しない代わりに買収先の業績が大幅に悪化した場合は、のれんの価値の減少分を一気に損失として処理する。専門家は「M&Aが成功しても、突然の損失が発生するリスクがある」と指摘している。

編集部からの一言

日本の会計基準は「のれん=買収コスト」と捉えているため、年月をかけて費用計上し、償却していくという考え方だ。一方で、IFRSや米国基準では、M&Aの際に買収先企業の収益力を毎年厳正にチェックし、収益が減少すれば一括でのれん代を償却する。東芝は過去にのれんの一括処理を求められ、最終赤字が4,999億円に達したこともある。のれんの急増は企業が生き残りを懸けてM&Aを活用した結果だが、潜在リスクはある。

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