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「会計処理は適切」伊藤忠が米グラウカスのレポートに反論
2016/08/10

アメリカの運用会社グラウカス・リサーチ・グループは「伊藤忠商事が2015年3月期決算で会計区分を変更して利益を過剰計上した」というレポートを発表。独立委員会による問題の検証を求める声明を出していた。レポートの内容は主に3点。①コロンビアの資源権益を持ち分法投資先から外し減損損失を回避した点。②中国中信集団グループに2割出資しているが、同社は中国政府支配下にあるため伊藤忠が持ち分法を適用できない点。③持ち分法適用会社である中国の頂新グループの持ち株会社を伊藤忠が連結対象から外して会計処理をしている点。

これに対して伊藤忠の最高財務責任者(CFO)である鉢村剛氏は「処理はすべて適正。会計監査担当のトーマツなどから適正意見を得ている」と説明。さらに「法的対応も選択肢の1つ。レポートの免責事項に『事実の提示ではない』とある。つまり、特定の見解で株価を下落させようとするもの」と真っ向から反論している。

編集部からの一言

この問題について、日本取引所グループは定例会見で「空売りしてからの公表は疑問が残る」とコメントを発表した。というのは、グラウカスのレポートには「空売りポジションを保有しており、伊藤忠の株価が下落すれば、(グラウカスに)相当の利益が実現する」と記載されていて、“売り”を奨励しているからだ。伊藤忠は「株価が下落した後、買い戻して利益確保することが目的」として、投資家に対して慎重な対応を呼びかけている。

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