大企業経理へ転職するにはどうすればいい？有利なスキルや資格も解説

大企業経理へ転職するメリット

そもそも経理とは、主に仕訳の計上や会計帳簿の作成を行う職種です。大企業の経理への転職には、専門性の高い知識と経験を得られる可能性が高まり、待遇アップも期待できるといったメリットがあります。

これらのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。

専門性の高い知識と経験を得られる

大企業の経理に転職するメリットは、管理会計や主計などに関して高度な専門知識を獲得できる点にあります。なぜなら、大企業では経理部が独立しており、さらにそのなかで複数の部門に分かれて仕事を行うなど、業務が細分化されていることが多いからです。この社内体制により特定の分野に関する深い専門性を追求できます。

また、大企業は事業規模や事業内容も多岐にわたる分、さまざまな経験を得られます。たとえば、上場企業であれば有価証券報告書や決算短信の作成といった、より専門的で複雑な業務に携わる機会があります。さらに、グローバル企業であれば、IFRS（国際財務報告基準）など、グローバルな会計基準を利用した高度な会計処理を経験できるでしょう。

大企業の経理で得られた専門性の高い知識と多様な経験は、将来的な独立といったさらなるキャリアアップにもつなげやすいといえます。

待遇アップが期待できる

大企業は一般的に経営基盤が安定しているため、中小企業と比較して年収が高く、福利厚生や退職金制度などが充実している傾向があります。そのため、年収や待遇がアップする可能性が高いのも、大企業へ転職する大きなメリットといえるでしょう。ワークライフバランスを保ちたい方や、安定性を求める方は、大企業の経理職への転職を検討する価値は十分にあります。

大企業経理と中小企業経理の違い

大企業経理と中小企業経理では、主に業務内容と組織構造に違いがあります。以下で見ていきましょう。

大企業経理の業務内容

大企業では、経理部が独立していることが多く、さらにそのなかでも原価計算、税務、連結決算といった担当に分かれているケースもあります。そのため、経理業務に専念できるメリットがある一方で、それぞれの分野で高い専門性が求められるという側面があります。

特に上場している企業であれば、有価証券報告書や決算短信の作成といった、外部へ開示する目的の書類作成業務もこなす必要があります。こうした書類を作成する際には、社内の他部署や子会社との連携が不可欠です。したがって、経理に関するスキルだけでなく、円滑に業務を遂行するためのコミュニケーション能力やディレクション能力も求められます。また、海外子会社などがあるグローバル企業の場合は、英語をはじめとする語学力が必要になることもあるでしょう。

中小企業経理の業務内容

中小企業では、経理部が独立して存在するわけではなく、総務や人事などの業務と兼任して経理業務を行うことが多くあります。そのため、給与計算や社会保険手続き、備品管理といった総務・人事関連の業務にも対応する必要があり、幅広い知識と対応力が求められます。

大企業経理へ転職する際の注意点

大企業経理は業務内容の専門性の高さから、つまらない、きついといわれることがあります。具体的には以下のような点に留意しなくてはなりません。

• 仕事の裁量が減る恐れがある
• 人間関係でストレスを感じることが多くなるリスクがある

仕事の裁量が減る恐れがある

大企業は業務を細分化していることが多く、特定の分野において高い専門性を獲得しやすい環境です。しかし逆にいえば1人で幅広く仕事をするわけではないため、転職前の職場と比較して業務全体の裁量が減ったと感じる場合があります。

また、大企業ではルールや慣習を重んじる傾向があるという点からも、個人の裁量が限定的になる恐れがあります。そのため、自分の裁量で工夫しながら仕事をしたいと考える人は、大企業の経理業務をつまらないと感じてしまうかもしれません。

人間関係でストレスを感じることが多くなるリスクがある

大企業経理は基本的に複数の部署とかかわるため、人間関係のストレスがきついと感じる可能性もあります。業務内容そのものよりも、各部署との連携がうまくいかないことに不満を感じるケースもあるでしょう。

ただし、昨今では、ERPシステムのように社内の業務を一括で管理し、作業の効率化を図るソフトウエアを導入している企業も増えています。これをうまく活用できれば、スムーズな社内連携がしやすくなるでしょう。

大企業経理に求められる実務経験・スキル

大企業経理では、主に以下のような実務経験やスキルが求められます。

• 決算に関する実務経験や知識
• マネジメントスキル

以下で詳しく解説していきます。

決算に関する実務経験・知識

たとえば以下のような項目に関する実務経験や知識・スキルがあると、大企業経理に求められる人材となるでしょう。

• 財務会計（単体決算・連結決算・IFRSなど）
• 監査法人対応
• 管理会計
• 税務

なお、連結決算やIFRS（国際会計基準）に関する実務経験や知識は難易度が高いため、大企業で特に評価されやすい傾向があります。

連結決算にあたって、子会社が海外にある場合は、さらに業務の難易度が増します。連結決算やIFRS、英語といった分野を意識して身に付ければ、大企業でも即戦力として活躍できるチャンスが増えることが期待できるでしょう。

マネジメントスキル

大企業は組織で仕事を行うため、経理職であれば経理部で業務を行うことが多く、子会社も含めた部門全体をマネジメントできる人材が求められます。

特に上場会社では、期日までに短信や有価証券報告書などの開示を行い、監査法人から了承を取り付ける必要があります。ここではプロジェクト・マネジメントを中心に、進捗管理やディレクションなど、関連部門との連携や課題解決を担う役割が期待されます。

また、大企業の経理では、有価証券報告書などの作成時に社内の他部署や子会社の関連部署とのコミュニケーションも必要になるでしょう。したがって、大企業で経理の仕事を行うのであれば、単なる会計知識だけでなく、マネジメント経験も重要です。

大企業経理の転職に有利な資格

大企業経理に転職する際は、より高度な専門知識が求められることが多いため、保有する資格を通じて知識を有していることをアピールするのもおすすめです。具体的には、以下のような資格があると転職活動に役立つでしょう。

• 簿記1級
• 公認会計士
• USCPA（米国公認会計士）

以下で詳しく見ていきます。

簿記1級

簿記1級は、日本商工会議所が主催する検定試験であり、一般的に日商簿記1級を指します。日本商工会議所によると、簿記1級のレベルは「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」とされており、その非常に高い難易度がうかがえます。

実際に、簿記1級の2002年〜2024年までの合格率は5.9％〜16.8％と低く、取得が難しい資格であることが分かります。しかしその分、会計知識の専門性を強力に証明できるため、この資格を保有していると大企業の経理への転職を有利に進められるでしょう。

公認会計士

公認会計士は、企業に対して監査業務を行える唯一の国家資格です。2024年公認会計士試験の合格率は7.4％と、まさに難関資格の1つといえるでしょう。

この資格は、会計に関する深く幅広い知識を有していることを証明できるため、保有していると経理への転職を有利に進めやすくなります。特に、監査を受ける企業では、事前の対策として公認会計士である社員が、必要書類や会計処理を確認できるため、活躍の場が多くなるでしょう。

USCPA（米国公認会計士）

USCPA（米国公認会計士）は、アメリカの各州が主催・認定する公認会計士資格であり、英語で会計知識を理解していることの証明になります。特に、グローバルに事業を展開する企業では、USCPAを保有していることは大きく評価される傾向があります。

大企業経理へ転職するコツ2選

大企業経理への転職を成功させるためのコツは、以下の通りです。

• キャリアプランを明確にする
• 会計・経理分野に特化した転職エージェントを利用する

詳しく見ていきましょう。

キャリアプランを明確にする

基本的でありながらも転職を成功させるコツは、将来どうなりたいのかを明確にすることです。独立や海外進出など、明確にしたキャリアプランやビジョンから逆算して転職先を選べば、仕事へのやりがいも感じやすく、転職してよかったと思えるでしょう。

会計・経理分野に特化した転職エージェントを利用する

転職エージェントを利用することも、転職を成功させるためのコツです。自己評価や集めた情報に偏りがあると、自分にとって最適な転職先を見つけにくくなります。そのため、たとえ転職先が決まったとしても成功したとはいい切れない場合があります。しかし、転職に対して知識と経験が豊富な転職エージェントを利用すれば、より成功確率の高い転職ができるでしょう。

特に、経理分野に特化した転職エージェントも存在します。このような専門のエージェントを活用することで、あなたの転職はさらに成功に近づくはずです。

まとめ

大企業の経理職への転職を考えているなら、経理分野に特化した転職エージェントの利用が、納得のいく転職を実現する可能性を高めてくれます。

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参照：商工会議所の検定試験｜簿記　1級、日本商工会議所