資格を取得して公認会計士として働くメリット
公認会計士の資格は、医師・弁護士と並び「日本の三大国家資格」のひとつとして知られています。公認会計士の資格を取得できれば、社会的なステータスを確立できるだけでなく、安定した高収入を得ることができます。
ですが、公認会計士の資格を取得するためには、難度の高い国家試験に合格しなければなりませんし、実務経験や実務補習を受けることも必要です。そのため、資格試験の勉強だけでなく、試験合格後にできるだけスムーズに資格を取得できるよう、並行して業務経験を積むなど効率的に進める必要もあります。
ここでは、「公認会計士の資格を取得するにはどうしたらいいのか」、そして「公認会計士の資格を取得することでどのようなメリットがあるのか」についてご紹介しましょう。
マイナビ会計士編集部
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三大国家資格のひとつ公認会計士とは?
冒頭でもご紹介したように、公認会計士は医師の医師国家試験、弁護士の司法試験と合わせて、日本の三大国家資格と呼ばれる資格です。
公認会計士の有資格者は、会計の専門家として「財務諸表の監査業務」に携わる職種で、法律によって「独占業務」として認められています。つまり、監査業務を行える唯一の職種ですから、景気の好不況に左右されませんし、安定して働き続けることができます。公認会計士としての経験を積むことで、独立開業も可能です。
また、後述しますが、公認会計士の資格を持つことで、税理士として登録することも可能です。つまり、公認会計士は、将来有望な資格のひとつなのです。
公認会計士の資格を取るには?
資格を取得して公認会計士になるためには、どうしたらいいのでしょうか。公認会計士になるための必須条件としては、国家試験である公認会計士試験に合格すること。そして、必要な実務経験や実務補習を受け、修了考査に合格する必要があります。
ここでは、公認会計士になるための学習方法や条件、向いているタイプなどをご紹介します。
公認会計士試験の難度・対策ポイントは?
一般的に、筆記試験に合格するまでには、平均2~3年の勉強時間が必要といわれています。さらに、現場経験期間や補習期間が入るため、公認会計士を志してから実際に資格を取得するまでには、5~6年ほど要するといわれています。このことから、公認会計士を目指すのであれば、長期的なスパンで計画を立てる必要があるのです。なお、論文式試験には科目合格制度がありますので、段階的に試験範囲を絞って学習することも可能です。
公認会計士試験の学習方法
公認会計士試験に合格するためには、独学だけでは十分に試験対策をすることが難しいといわれています。そのため、公認会計士試験の受験者の多くは、予備校や通信教育講座を利用しています。 広範囲の学習が必要となる公認会計士試験の予備校には、社会人向けのコースを設けているところもあり、働きながら資格取得を目指すことができます。
公認会計士になるための条件
公認会計士試験に合格した上で、日本公認会計士協会に「公認会計士」としての登録手続きを行えば、晴れて公認会計士となることができます。
公認会計士になるために、学歴などの条件や年齢制限などはあるのでしょうか。以下に、公認会計士を目指す人が気になるであろう条件についてまとめました。
・年齢制限
公認会計士になるための年齢制限は、上下ともにありません。ですから、何歳からでも公認会計士を目指すことはできます。ですが、公認会計士になるためには、公認会計士試験に合格するだけではなく、実務経験や実務補習のために5年ほど必要です。義務教育を卒業後、すぐにチャレンジしたとしても、現実的な最少年齢は20歳くらいからとなります。
・学歴制限
公認会計士になるために学歴制限はないので、最終学歴が義務教育である中学校卒業であっても問題ありません。しかし、実際に公認会計士の資格を取得した後の就職などでは、大学卒業のほうが有利な場合もあります。また、公認会計士試験の勉強は大変なので、会計士の専門学校で勉強し、最終学歴とする場合もあるでしょう。
・性別制限
公認会計士になるために、性別の制限はありません。公認会計士の仕事は、男女の差がなく活躍しやすいフィールドなので、キャリア志向の女性にも人気があります。
公認会計士に向いているタイプ
「公認会計士になりたい」と思っても、自分自身の適性として「向いている」か「向いていないか」という判断も気になるところでしょう。公認会計士に向いているのは、どのようなタイプなのでしょうか。
・数字が好きで正確なタイプ
公認会計士のおもな業務は監査業務ですから、財務書類に記載された数字が正しいかを検証していく必要があります。そのため、大量の数字を見てやる気がわいてくるようなタイプが向いています。
・正義感が強いタイプ
財務書類を確認した結果、内容に間違いを見つけることもあります。しかし、それが「故意の間違い」であるケースもあるでしょう。その場合、誤りを指摘しなければいけませんが、クライアントである企業に対して強く出られないと困ります。毅然とした態度で監査するには、正義感が強いタイプが向いています。
・経営に興味があるタイプ
公認会計士の監査業務は、企業経営のチェックです。ですから、企業経営に興味があるタイプのほうが、モチベーションを維持しやすいといえます。
公認会計士資格取得のための5つのステップ
公認会計士の資格を取得するまでには、大きく分けて5つのステップがあります。ここでは、各ステップについてご紹介していきまよう。
1. 公認会計士試験(短答式試験)に合格する
最初のステップは、公認会計士試験の一次試験である、短答式試験に合格することです。
この試験はマークシート方式で行われ、受験科目は「会社法」「管理会計論」「監査論」「財務会計論」となっています。総得点の70%以上が合格基準とされているだけでなく、1科目でも40%を切っていたら不合格となるきびしい試験です。短答式試験は年に2回実施され、一度合格すれば2年間有効となります。
2. 公認会計士試験(論文式試験)に合格する
短答式試験に合格したら、次は論文式試験です。科目数が多いだけでなく、応用力を試される筆記試験ですので、短答式試験に合格した後に勉強期間を設けて受験するケースもあるようです。受験科目は「財務会計論(簿記・財務諸表論)」「管理会計論」「監査論」「企業法」「租税法」を必須とし、「経営学」「経済学」「民法」「統計学」の中から1科目を選択します。
合格基準は、その年の受験者の点数が「その採点を行った試験委員の採点結果の平均点」からどの程度離れた位置にあるかを示す得点比率(全受験者ではなく、ある採点者が採点した受験者の中での偏差値)から算出されますが、概ね52%が合格ラインの目安とされています。また、論文式試験が不合格となっても、各科目で一定以上の高成績と認められた場合は、その後2年間その科目試験については免除される科目合格制度があります。
3. 2年以上の業務補助等の実務を行う(試験合格の前後は不問)
次に必要なのが、2年間の実務経験です。これは、監査法人で「業務補助」に従事する方法が一般的です。公認会計士の資格試験に挑戦しながらでも実務経験を積めるので、並行して行うことも可能です。
なお、一般事業会社等に常勤として勤務し、法令(公認会計士法施行令第2条)で定められた「実務従事」に従事する方法がありますが、一般事業会社の場合は資本金が555億円以上の企業であるなどの制約があるため、監査法人で経験を積むことが一般的となっています。
4. 3年間の実務補習を受ける
4つ目のステップとしては、3年間の実務補習があります。実務補習制度は単位制で、講義に出席するだけでなく、レポート提出やテストもあります。
5.実務補習の修了考査に合格する
実務補習の必要単位を取得したら、残るは修了考査です。この試験に合格することで、公認会計士の資格を取得したことになります。
なお、この時点ではあくまで公認会計士としての資格を得たにすぎません。実際に公認会計士になるためには、日本公認会計士協会に入会し、公認会計士名簿に登録する必要があります。この手続きを終えて、初めて公認会計士となるのです。
公認会計士の資格を取得して働くメリット
前述したように、公認会計士の資格を取得するのは困難かもしれません。では、公認会計士の資格を取得して働くことには、どのような魅力があるのでしょうか。
公認会計士には、国家資格としての社会的ステータスの高さや高収入であること、安定して働き続けられるといった魅力があります。ここでは、公認会計士の資格を取得して働くメリットをご紹介しましょう。
社会的ステータスが高い
公認会計士は、医師や弁護士と並ぶ三大国家資格であり、その資格を取得することで、社会的なステータスは高くなるといえます。また、公認会計士の独占業務である監査業務は、監査対象が大手企業であることが多いです。そのため、社会的責任は重くなりますが、仕事に大きなやりがいを感じられることもメリットです。経済・経営分野の資格の中でも、特に魅力的な職業といえるでしょう。
収入が高い
公認会計士は、社会的なステータスが高いだけでなく、同時に年収の高さもメリットとなります。厚生労働省が発表した「平成30年賃金構造基本統計調査」によれば、公認会計士ならびに税理士の給与額は、次のようになっております。
・給与額:56万4,200円
・年間賞与・その他特別給与額:214万8,500円
・年収:891万8,900円
これは、あくまで給与としての統計ですので、公認会計士の事務所を独立開業した場合は、さらに高い年収を目指すこともできるでしょう。
需要が安定している
公認会計士の監査業務は独占業務ですから、景気に左右されず一定の需要がありますので、安定した仕事量を得られるのがメリットです。
監査法人での勤務には定年がありますが、高い専門性を備えた公認会計士であれば、年齢を問わず重宝されるため、年齢に関係なく働き続けられるという魅力もあります。ですから、定年後も企業のコンサルタントやアドバイザーとして活躍したり、社外監査役として招かれたりするケースも少なくありません。
公認会計士資格取得後の業務内容
資格を取得した公認会計士の多くは、監査法人や会計事務所に勤務します。監査法人や会計事務所内でキャリアアップを図るケースだけでなく、経験を積んで会計事務所を開業するケースも少なくありません。
また、公認会計士の資格を活かして、監査法人や会計事務所内ではなく、一般企業の財政・会計部門に勤務し、金融や証券、M&Aなどの分野で活躍する人も増えつつあります。
ここでは、公認会計士のおもな業務内容について見ていきましょう。
監査業務
前述したように、監査業務は公認会計士の資格取得者だけが携わることを認められている独占業務ですから、公認会計士のメイン業務となります。
監査業務では、企業が作成した財務諸表の監督および検査を行います。財務諸表は、企業が決算の際に作成する会計報告書類のことを指します。財務諸表からその企業の経営状態がわかるため、企業の成績表のように扱われています。この財務諸表は、適正な内容であるか第三者の立場から監査される必要があり、その監査の役割を公認会計士が担っているのです。
監査を受ける義務があるのは、一定額以上の資本金または負債を持つ株式会社となっているため、おもなクライアントは大企業となります。
コンサルティング業務
公認会計士は、企業に対してコンサルティング業務も行います。
公認会計士がコンサルティングを行う場合は、会計の専門家としての観点から「経営や資産管理」「組織再編」「システム導入の是非」「事業再生計画の策定」など、企業の抱える課題に対する解決策を提案したり、経営のアドバイスなどを行ったりします。
税務
公認会計士の資格があると、税務も行えます。公認会計士の独占業務に監査業務があるのと同様に、税理士にも「税務」という独占業務があります。ですが、公認会計士の資格を持っている場合、税理士登録をすることで税理士試験を受けなくても、税理士として税務に携わることが可能となります。
税務は、税金に関する業務全般を指しますが、公認会計士が税理士として行う税務としては、「納税者の代わりに税務申告を行う税務代理」「税務書類の作成代行」「税務全般の指導およびアドバイス」が中心となります。
公認会計士資格取得後の就職先
公認会計士の資格を取得した人の、おもな就職先についても確認しておきましょう。公認会計士が専門性を活かせる職場としては、「監査法人」「会計事務所」「一般事業会社」があります。また、公認会計士の資格が必須ではありませんが「コンサルティングファーム」などでも、公認会計士の資格があると会計コンサルタントとして就業が可能です。
監査法人
多くの公認会計士が働くのが監査法人です。監査法人は、会計士の独占業務である監査業務を専門とする特殊法人で、公認会計士の有資格者だけでなく、公認会計士試験に合格した人が現場経験を積むために働いています。監査法人の仕事内容は、公認会計士の基本である監査業務です。規模は大小さまざまですが、都心部と地方都市まで全国に活躍の場があります。
会計事務所
会計事務所は、会計事務所も公認会計士の就職先として一般的です。仕事内容としては、財務書類の作成をしたり、税務やコンサルティング業務を行ったりして、クライアントのサポートをします。会計事務所の規模もさまざまで、大手や中堅の事務所もあれば、個人経営の会計事務所もあります。都心に限らず、地方都市にも会計事務所は数多く存在します。公認会計士としてのキャリアを積めば、自分自身で会計事務所を開業することも可能です。
一般事業会社
一般事業会社にも、公認会計士が活躍する場があります。一般企業に勤める場合は、経理や財務の部門で予算編成や調整を行います。また、公認会計士の有資格者としての専門知識を活かせる経営戦略やコストの削減、M&Aなどの提案を行うコンサルティング業務を担うケースもあります。
コンサルティングファーム
公認会計士の資格保持者であれば、コンサルティングファームにて、会計コンサルタントとして従事することも可能です。ただし、コンサルティングの内容としては、公認会計士として行ってきた会計監査とは異なり、「財務諸表の作成フローの最適化や低コスト化」などのアドバイスを行います。
公認会計士の将来性は?
公認会計士の将来性については、近年不安の声も出ています。例えば、クラウド会計ソフトの浸透やAI(人工知能)の進出によって、さまざまな会計士の仕事が代替されてしまうのではないかという懸念です。確かに、これまでの公認会計士が行っていた業務の一部が、将来的にAIに肩代わりされる可能性は高いかもしれません。だからといって、公認会計士の仕事が完全になくなってしまうわけではないでしょう。
前項でご紹介したように、公認会計士が活躍できるフィールドは、監査法人のみにとどまりません。専門性の高い公認会計士の知識や経験は、一般企業や外資系企業、金融機関など、さまざまな分野で重宝されます。また、企業の合併や買収を行うM&Aや事業再生のコンサルティングなどでも、公認会計士の判断やアドバイスが活かされます。
ですが、将来も公認会計士として働き続けるためには、社会のニーズをくみ取って、コンサルティング業務にも対応できる知識やコミュニケーションスキルを磨いておくことが重要といえるでしょう。
公認会計士は、資格取得前後に最適な就職先を見つけることが重要
公認会計士の資格を取るためには、試験の合格以外にも、業務経験や実務補習などを受ける必要があります。そのためには、公認会計士の資格取得に協力的な就業先を探すことが必要となります。また、公認会計士の資格取得後に、安定して働き続けたり、独立開業したりするためには、監査法人や一般企業で豊富な経験を積み、専門性の高い武器となるスキルを磨いたりしていくことが大切です。
つまり、公認会計士の資格を取得する前から、綿密なキャリアプランを練ることが、将来を決定付けるともいえるのです。そこで、どのような職場で働くべきかを検討したい場合は、公認会計士専門の転職サービスに登録して、キャリアアドバイザーに相談してみることをおすすめします。
マイナビ会計士では、監査法人はもちろん、事業会社やコンサルティングファームといった幅広い分野の求人を多数保有しており、キャリアアドバイザーがご希望に沿った案件をご紹介しています。公認会計士の資格取得や、取得後の転職を成功させたい方は、ぜひご相談ください。
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